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前橋協立診療所

グリーフケア訪問

グリーフケアって言葉をきいたことがありますか。
 グリーフケアとは愛しいひとと死別した家族(遺族)がその悲嘆(グリーフ)を乗り越え、悲嘆から立ち直り再び日常生活に適応していくことを見守ってゆくケアのことです。前橋協立診療所では、訪問診療を通じて、ご自宅で介護され、看取りをされたご家族がその後どう過ごされているのか、とても気がかりでした。悲嘆の大きそうな方を対象に、不定期に訪問させていただいていました。昨年度も、ここ一年間の間に亡くなられた方の、ご遺族を対象にした遺族会を開きましたが、今でも癒えぬつらい想いを抱えて生活なさっていることがよくわかり、もっと早くグリーフケアをはじめられないかと考えていました。
 
 そんな中、ある方を訪問させていただきました。この方は療養も長く、何度も波を乗り越えてきていたので、ご家族は亡くなることの心の準備もできていただろうし、熱心に介護されていたので充分にやり切ったと思っているかなとスタッフ一同思っていました。しかし、訪問させていただくと、「しばらくは放心状態だった。もっとやってあげられることがあったのではないだろうか。」とあんなに熱心に介護されていたのに、ご自分をせめていらっしゃいました。亡くなってから数か月たっていました。
 
 また、こんな方もいらっしゃいました。「今までは、気が張っているのか人前で涙をこぼすことが出来なかった。最期までずっと見守ってくださった医療関係者のお顔を見たらやっと泣くことができました。いままでは、思い出がありすぎて入れなかった部屋に、私と愛犬は、今日初めて入ることができました。」とおっしゃいました。
 
 これらのことから、ご家族がどんなお気持ちで過ごされているのかを早い時期に確認させていただき、なんとかお力になれないかと考え、定期的に訪問させていただくことになりました。
 
 訪問させていただくと、いろいろなことがわかりました。いままではお看取りのあとのことはわかりませんでしたが、ご葬儀の様子などお伺いすると改めてお亡くなりになられた方の生きてこられた証を知ることができました。
 
 こんな方もいらっしゃいました。ご近所の方が、ご不幸を聞きつけ、亡くなったのは奥様だと思って弔問すると、奥様が玄関から顔をだしたので、「なんで あんた生きているの?」と言われたそうです。亡くなられた旦那様は病状が思わしくない時でもご近所の前では気丈に振る舞っていらっしゃったようでした。そして遠方に実家がある奥様を里帰りさせてあげるためのお金をためていたことが亡くなってから分かったとのことでした。我慢強く、言葉には出すのが苦手ですが、奥様に対し、愛情深い旦那様のお人柄がよくわかりました。
 

 まだまだ始まったばかりのグリーフケア訪問ですが、これからもご遺族の気持ちを大切にお付き合いさせていただこうと思います。

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